イチから学ぶ建築計画 注文住宅のすべて

ハウスメーカーと工務店の違いと選ぶときのポイント

ハウスメーカーとはその名の通り、家を作る会社です。

家をつくることで会社を成り立たせてますので、当然家造りのプロです。
ただし、いえを売るプロでもあります。
ここがコストに大きく反映されるところなので、認識をしておくと良いでしょう。

家を売るためには、営業が必要となります。
適当に土地を買って、家を建てれば売れるか、というとそういうわけではありません。
建売住宅であっても、注文住宅であっても、窓口となる営業が必要です。
工務店でも営業がいるところもありますし、設計営業と呼ばれる兼任の役職がいることもあります。

仮に営業がいないとしても、家を売り買いするためには膨大な事務作業が必要となりますので、
設計や実際の作業者以外に事務職が必要となります。

一人で工務店をやっているような場合で、注文住宅を請け負っていた場合、
こうした事務作業は外注している可能性が高いです。

いずれにせよ、家を売るためには色々なコストがかかる、ということです。

そして、積極的に家を売ろう、と考えた場合は宣伝しなくてはなりません。
積水ハウス、パナホーム、ヘーベルハウス、ダイワハウス、などテレビでよく見るハウスメーカーは、宣伝広告費も相当な金額を使っています。

これらの金額はそのまま家の金額に反映されます。

ですから、全く同じ素材を使って、同じ家を建てたとしても、工務店よりもハウスメーカーのほうが圧倒的に高くなります。
営業、事務、宣伝広告の費用をどこかからもらわないとなりません。それを支払うのは施主であるあなたです。

誤解の無いように言っておきますが、だからハウスメーカーはだめだ、ということではありません。
建ててる数が圧倒的に多いですし、テレビや広告でよく見るから安心、というひともたくさんいるでしょう。
工務店の良し悪しはわからないけど、ハウスメーカーであればなんとなく安心という方もいると思います。
これはまさにブランディングであり、そのブランド料が高いか安いかは選ぶひと次第だからです。
どの世界にも言えることだと思いますが、ブランド力=安心材料なわけで、そのブランド力を高めるためにお金をかけてるわけです。
ハウスメーカーで建てる、ということはブランドものの家を建てる、と同じことなのです。

ハウスメーカーで建てている現場は、「高いんだろうなぁ」と思いながら見てます。

ハウスメーカーにもそれぞれ特徴があります。

身近なハウスメーカーで一番特徴があるのは旭化成ホームズのヘーベルハウスでしょう。
ヘーベルハウスは木造ではなく、軽量鉄骨で建てます。
最近は重量鉄骨で建てることもあるようですが、軽量鉄骨が基本です。

ひと昔前のアパートでは軽量鉄骨がよく使われていました。
つまり、構造的なイメージとしては戸建て、というより、集合住宅に近いです。

当然ながら、木造よりも火に強く、地震などにも耐えられる構造となります。
ただし、「鉄」は実は火に強いわけではありませんし、最近では燃えにくい木造も増えてきているので、木造だと火事が怖い、という認識もある程度改めないといけません。
このような情報取得の意味も含めて、色々と見て回ることが大事なのです。

木造住宅を建てたい、と思っているのにヘーベルハウスに行っても意味はないわけです。
もちろん、勉強という意味で見に行くのは良いと思います。もしかしたら、ヘーベルハウスを建てたくなるかも知れません。
いまこの文章を読んで、木造かどうかも考えていなかった、ということもあると思いますので、色々と調べてみると良いでしょう。

木造のハウスメーカーであっても、ツーバイフォーを売りにしているところもあれば、ウォール工法などを売りにしているところもあります。
工法はどれが良い、というものでもありません。在来工法よりツーバイフォーが耐震性に優れる、と思っている方もいると思いますが、実際にはそうではありません。
もしその認識がある場合、それは企業の広告からの知識だと思います。実際にはツーバイフォーで建てても、在来工法で建てても、耐震基準を満たすかどうか、ですのでどちらが強いということは無いのです。

工務店に依頼したい、という場合は注文住宅を売りにしているかどうか、で選ぶことが重要です。
ひとくちに工務店と言っても、ハウスメーカーの専業工務店もあれば、リフォームメインの工務店もあります。
建築の世界は非常に広く、また各分野であるていど専業化が進んでますので、色々な種類の工務店が存在します。
ホームページを見て、施工例などが実際にあるかどうか、がまずはポイントになると思います。

注文住宅を売りにしている工務店であっても、単なる窓口の場合もあります。
こういうケースの場合は、設計を外注していたり、いつもお願いしている設計事務所と提携していることが多いです。
このような場合でも特に問題はありませんが、自身で設計している工務店よりはレスポンスが遅くなり、多少金額も高くなる傾向にあります。
そうは言っても、外注している場合も出ハウスメーカーよりは低コストです。ハウスメーカーはそれだけ高いと思っていてください。

工法については、工務店に依頼する場合はほとんどの場合、在来工法になると思います。
そもそもツーバイフォー工法で家を建てられる大工さんはまだまだ少数派です。
ですので、ツーバイフォーが良い、という場合はかなり選択肢が狭くなると思います。ハウスメーカーでも工務店でもツーバイフォー出来ます、というところを選ぶしかありません。
ツーバイフォー工法には細かい決め事がたくさんあるので、普段からツーバイフォー工法で建てているところにお願いするほうが良いと思います。

もしハウスメーカーで建てたい、という場合は、なぜハウスメーカーで建てたいのか?をよく考えてみてください。
安心を買いたいから、なのか、ハウスメーカーの工法が信頼出来るから、なのか、色々な理由があると思います。
おそらく、ほとんどの場合が「あたりの工務店がわからないから」だと思います。つまり、安心を買いたいというところですね。

では、その安心とは何を安心したいのでしょうか?工事後のアフターフォローでしょうか?管理体制でしょうか?
なぜこんなことを聞くかというと、建築業界は大きな金額の買い物であるため、様々な保証が業者に義務付けられています。
工務店であっても、第三者の保証に入らなければなりませんし、法律で購入者を保護する決まりがあります。
そのため、基本的な保証体制はハウスメーカーであっても工務店であっても、変わらないのです。
その上で、ハウスメーカーは手厚い保証を用意していることがほとんどですが、そこを安心材料として買いたい、ということであればハウスメーカーで良いと思います。
工務店を選ぶ場合は、極力、地元で長年やっている工務店が安心できます。建設業は基本的には地場産業です。東京の業者が北海道に行って工事することはほとんどありません。
余計な出張費がかかりますし、地元の業者との連携が必要だからです。知らない土地でいきなりなにか建ててくれ、と言われてもなかなか難しいのです。

ハウスメーカーと工務店、それぞれメリット・デメリットがありますので、どこに重点を置くか、を考えておきましょう。

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