建築条件付きの土地とは
土地から探して家を建てよう、と考えている場合、「建築条件付き」という土地に巡り会うかも知れません。
特に新築を考えている場合には巡りあうことが多いでしょう。
「建築条件付き」とはその名前の通り、条件付きの土地のことです。
しかし、条件と言ってもそんなに難しい条件ではありません。
一般的な「建築条件付き」の土地というのは、決められた工務店やハウスメーカーで建物を建てることを「条件」としている土地のことです。
建築する上でなにか法律的な問題があるわけではなく、要するに、建物と土地をセットで販売するから安くしとくよ!という土地です。
このような販売方法の場合、売り主は工務店やハウスメーカーなどの建築業者であることが多いのですが、建築条件付きの販売をしているにもかかわらず、販売業者が建築業の免許を持っていない場合もあります。
この場合は建築業者と提携して販売しているか、土地の販売後に建築業者に丸投げするパターンがあります。
では、なぜこのような販売方法が存在するのでしょうか?
ざっくり言えば、業者が儲けたいからです。
土地の値段が安く、儲けが少ない場合
例えば1500万の土地を販売するとしましょう。
手数料は宅建業法という法律により決まっておりますので、1,500万円の3%+6万円で、51万円となります。
売り主と、買い主の両方から手数料をもらうことはOKですので(これを両手といいます)51万×2で102万円(土地は消費税非課税)
土地の売買には様々な手間がかかります。
役所との折衝や、銀行との折衝、各種書類の準備。
さらに、期間もそれなりにかかります。
例えば上記の土地の契約に3ヶ月かかったとすれば、単純に考えて1ヶ月30万ちょっとの売上にしかなりません。
これでは経費や人件費を考慮するとマイナスとなってしまうのです。
そこで、建築条件付きとして、建物もセットで販売するのです。
建物にも当然利益を載せて販売しますので、売上も利益も多くなるという仕組みです。
土地を売買する際の手数料は上限が決まっていますが、建築請負契約には上限がありません。
ですので、建物1500万に対して、10%の利益を確保したとしても150万となります。
であれば、土地の仲介手数料を値引きしても請負契約をしたほうがお得になります。
ですから、購入する側としても仲介手数料を値引きしてもらえる可能性があります。
さらに、土地を購入してから建物が建つまでに時間差が発生しませんので、土地が遊んでいる時間が少なくなり、土地の活用という面で見てもお得になる可能性があります。
デメリットとしては、「建築条件付き=指定の建築業者」ということになります。
新築住宅を建てるということであれば、大抵は理想の間取り、デザインを実現してくれる建設業者で建てたいと思うのが普通です。
ところが建築条件付きの場合、指定の業者で建てることが条件となります。
この業者が理想の建物を建ててくれるならば問題はありませんし、建物にそれほどこだわりは無い、ということであればそれでも良いとは思います。
また、建築条件付きと謳っているにも関わらず、間取りが選べなかったりデザインを限定していたりする場合があります。
これは、ただ単に建売住宅をその土地にあてはめているだけです。
注文住宅とは全くの別物ですから、注意が必要です。
立地がよく、土地が売れると判断した場合
この場合は、土地が売れるわけですから、セット販売で建物も売りたいという場合です。
土地の魅力に抱き合わせ販売するわけですね。
立地の良い土地であることが多いので、理想の建物を建ててくれる業者であればお買い得と言えます。
業者としては土地の手数料よりも、工事請負で売上を上げようと考えている場合が多いです。
そのため、立地が良いということはそれだけ土地の値段も高いでしょうから、手数料を値引きしてくれる場合はメリットが大きいでしょう。
工事請負契約を取りたい理由
業者側が手数料よりも工事請負契約を取りたいのはなぜでしょうか?
それは、ハウスメーカーや工務店は単体で家を建てることは出来ないからです。
建築業者は工事請負を契約した場合、電気工事は電気屋さんに、水道工事は水道屋さんに、という具合にそれぞれの専門業者に仕事を投げます。
その工事がちゃんと出来ているかどうかは確認をいたしますが、自前で全ての業者を社員として抱えている会社はありません。
そのため、専門業者や職人側としては、仕事をくれる会社と懇意にしたいわけです。
その会社と多く仕事をすれば、それだけ仕事の精度も高まりますし、信用も増します。
発注する側としても、設計意図、工事意図が伝わりやすく仕事がやりやすくなります。
そのため、単純に手数料よりも工事料金の方が儲かるからという理由だけではなく、こうした業者や職人との繋がりを保つためにも仕事が必要なのです。
要するに、ハウスメーカーや工務店は仕事を発注してナンボということになります。
仕事をあまりくれない建築業者とは、当然職人も付き合いたくないわけです。
このような背景もあって、請負工事を受注したい場合が多いのです。
建築条件付きの土地は検討すべきか?
どちらにしろ建築条件付きというのは、簡単にいえば業者がより利益を上げるための販売方式です。
しかしながら、買い手側にもメリットがある場合も多いですし、いくらかお金を払えば建築条件を外すことが出来る場合もあります。
また、建築条件付きであれば、建物を契約出来なかった場合は土地の契約を白紙撤回することが出来ます。
さらに、ここまで説明した背景もありますので、建築条件付きの場合はどちらかと言うと買い主有利です。
設計が気に入らなければ白紙撤回出来ますし、工事発注が欲しいのは販売業者側ですので、場合によっては大幅な値引きも出来るかも知れません。
急ぎでなければ建築条件付きの土地を検討してみるのも良いでしょう。