建築基準法 建築基準法原文

建築基準法 第一章 総則 第二条(用語の定義)1項三号 建築設備:原文と解説

建築設備

建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。

解説

建築設備とひとことに言っても、どれが建築設備なのか、一般的にはあまり区別つけて話すことは少ないと思います。さらに、一般的にあまり使われない言葉も多いので、まずは定義をきっちり理解しておきましょう。

用語ごとにしっかりと押さえておけば、あとで混乱することはないかと思います。

用語の解説

建築物に設置される建築設備について簡単ではありますが、説明します。

電気設備

電気設備とは、建物内で使用する電気に関連するすべての装置や配線のことを指します。具体的には以下のようなものがあります。

  • 照明器具: 天井や壁に取り付けられたライト。例えば、蛍光灯、LEDライトなどがあり、建物内の明るさを確保します。
  • コンセント: 電気機器を接続するための差し込み口。家庭用の100Vや、業務用の200Vなどがあります。
  • 配電盤: 建物全体の電力を管理する装置。各部屋やエリアへの電力の供給を制御します。
  • 電線・ケーブル: 電力を供給するための配線。建物内の各所に電気を届けます。
  • 電力供給装置: バッテリーや発電機など、電力を供給するための装置。停電時のバックアップ電源としても使用されます。

電気設備の設置は、建物の機能性と安全性を確保するために非常に重要です。安全性、というところで意外に思うかも知れませんが、例えば、適切な照明がなければ作業がしづらくなり、電気配線が不適切であれば火災の原因となることもあります。専門の電気技師が設計・施工を行うことが求められます。電気は結構怖いです。特に配線は建物の中に入るので素人には確認が難しいです。そのため電気工事士の免許がないと工事できません。

ガス設備

ガス設備は、ガスコンロやガス暖房器具など、ガスを利用する設備のことです。例えば以下のものが含まれます。

  • ガスコンロ: 料理に使用される調理用具。都市ガスやプロパンガスを利用します。
  • ガス給湯器: お湯を供給する装置。シャワーや台所で使用されます。
  • ガス暖房器具: 室内を暖めるための装置。ガスストーブやガスファンヒーターなどがあります。
  • ガスメーター: ガスの使用量を測定する装置。ガス会社が設置し、使用量を計測します。

ガス設備は、非常に便利である反面、ガス漏れや火災のリスクがあります。そのため、定期的な点検やメンテナンスが重要です。また、ガス警報器の設置も必要です。ガスは後付がなかなか難しいので、もし新築で乾燥機を設置したいなどの要望があれば、よく検討して設置するなら建築時に設置しておいたほうが良いです。

給水・排水設備

給水設備は、水道水を供給する設備、排水設備は使用済みの水を排出する設備を指します。例えば以下のものが含まれます。

  • 給水管: 水道水を建物内に供給するための管。各家庭や施設に水を届けます。
  • 蛇口・混合栓: 水を使用するための器具。キッチンやバスルームなどに設置されます。お湯と水を一つの蛇口で切り替える混合栓が最近は一般的です。
  • 排水管: 使用済みの水を建物外に排出するための管。衛生的な環境を維持するために重要です。
  • 排水トラップ: 排水管内の臭気が逆流するのを防ぐ装置。シンクや洗面台の下に設置されます。

給水・排水設備は、生活の基本を支える重要な設備です。水道管の破損や漏水が発生すると、大きな被害をもたらすため、適切な設計と定期的な点検が必要です。混合栓ではない、水とお湯が別の蛇口は最近あまりみかけなくなりました。

換気設備

換気設備は、建物内の空気を外部と交換するための設備です。例えば以下のものが含まれます。

  • 換気扇: 室内の空気を排出し、新鮮な空気を取り入れる装置。キッチンやバスルームに多く設置されます。
  • ダクト: 空気を運ぶための管。換気扇と外部を繋ぎます。
  • 換気口: 外部との空気の出入口。壁や窓に設置されます。

換気設備は、室内の空気の管理、健康を守るために不可欠です。特に、料理中の煙や湿気を排出するためのキッチン換気扇、バスルームの湿気を除去するための換気扇は重要ですし、最近の戸建てだと24時間換気となりますので、換気口だけが開いている場合がほとんどです。家の気密性が高くなった結果、各部屋に換気口として穴を開けておかないと空気がうまく循環しません。開け閉め出来ますが、そのまま開けておいたほうが良いでしょう。

暖房・冷房設備

暖房設備は冬季に室内を温めるため、冷房設備は夏季に室内を冷やすために使用されます。例えば以下のものが含まれます。

  • エアコン: 空調機器。冷暖房機能を兼ね備えています。
  • ヒーター: 電気やガスを利用して室内を暖める装置。電気ヒーター、ガスファンヒーターなどがあります。
  • ファンコイルユニット: 熱交換器を用いた空調機器。ビルや商業施設でよく使用されます。

暖房・冷房設備は、室内環境を快適に保つために欠かせません。適切な設備の選定とメンテナンスが、エネルギー効率の向上にも寄与します。

消火設備

消火設備は、火災発生時に火を消すための設備です。例えば以下のものが含まれます。

  • 消火器: 手動で使用する消火装置。粉末、泡、二酸化炭素などの種類があります。
  • スプリンクラー: 自動的に水を放出して火災を抑える装置。天井に設置されます。
  • 消火栓: 消防ホースを接続するための装置。建物内外に設置されます。

消火設備は、初期消火を迅速に行うために重要です。定期的な点検と訓練が必要です。

排煙設備

排煙設備は、火災時に発生する煙を排出するための設備です。例えば以下のものが含まれます。

  • 煙突: 暖房器具や厨房設備から発生する煙を排出するための縦長の管。煙の排出を確保し、室内の空気を清浄に保ちます。
  • 排煙ダクト: 火災時に煙を効率よく排出するためのダクト。ビルや高層建築で重要な役割を果たします。
  • 排煙窓: 火災時に手動または自動で開く窓。煙を迅速に外部に逃がす役割があります。

排煙設備は、火災時の避難を容易にし、煙による被害を軽減するために重要です。適切な設計と定期的なメンテナンスが必要です。

汚物処理設備

汚物処理設備は、トイレや浄化槽など、汚物を処理するための設備です。例えば以下のものが含まれます。

  • トイレ: 人が使用する排泄設備。様々なタイプがありますが、一般的には水洗式が主流です。
  • 浄化槽: 排水を浄化するための装置。下水道が整備されていない地域で使用されます。
  • 排水ポンプ: 使用済みの水を排水管に送るためのポンプ。地下室などで利用されます。

汚物処理設備は、衛生的な生活環境を維持するために重要です。特に、適切な設置と維持管理が求められます。

煙突

煙突は、暖房設備や厨房設備から発生する煙を排出するための通路です。例えば以下のものが含まれます。

  • 暖炉用煙突: 暖炉からの煙を外部に排出します。適切な設計が必要です。
  • ボイラー用煙突: ボイラーからの排ガスを排出します。効率的な排出が重要です。

煙突は、室内の空気質を維持し、煙による健康被害を防ぐために重要です。

昇降機

昇降機は、エレベーターやエスカレーターなど、建物内の移動を容易にする設備です。例えば以下のものが含まれます。

  • エレベーター: 建物内の上下移動をサポートする装置。ビルやマンションなどで使用されます。
  • エスカレーター: 階段の代わりに斜面を移動する装置。ショッピングモールや駅などで使用されます。
  • ホームリフト: 小規模なエレベーター。個人宅や低層建物で使用されます。

昇降機は、安全性と快適性を確保するために適切な設計と維持管理が必要です。特に、高齢者や障害者の利用を考慮した設計が求められます。

避雷針

避雷針は、建物に雷が直撃した際に雷電流を地面に逃がすための設備です。例えば以下のものが含まれます。

  • 避雷針本体: 建物の最上部に設置される針状の装置。雷を引き寄せます。
  • アース線: 雷電流を地面に逃がすための導線。避雷針本体から地面まで接続されます。
  • 接地極: 地中に埋められた金属棒やプレート。雷電流を地中に拡散させます。

避雷針は、雷による建物や機器の損傷を防ぐために重要です。設置は専門業者によって行われ、定期的な点検が必要です。

建築設備の意義と実際の適用

建築設備は、建物の機能性、安全性、快適性を維持するために不可欠な要素です。適切に設置・管理されていることが、建物利用者の生活の質に直結します。

例えば、電気設備が不適切であれば、停電や火災のリスクが高まり、ガス設備が不適切であれば、ガス漏れや爆発のリスクが増します。給水・排水設備が不適切であれば、衛生環境が悪化し、健康被害が発生する可能性があります。これらの設備は、専門の技術者によって設計・施工され、定期的な点検とメンテナンスが必要です。

関連する法律と建築基準法との関係

建築基準法には、建築設備に関する詳細な規定が設けられており、関連する法律や条例と連携して運用されています。以下に主要な関連法律を挙げます。

消防法

消防法は、火災の予防と被害の軽減を目的としています。建築設備のうち、消火設備や排煙設備は消防法の規定に基づいて設置されます。例えば、スプリンクラーの設置基準や排煙設備の設置方法が定められています。

電気事業法

電気事業法は、電力供給の安定性と安全性を確保するための法律です。電気設備の設置や維持管理は、この法律の規定に従います。例えば、電気配線の設置基準や配電盤の安全性に関する規定があります。

ガス事業法

ガス事業法は、ガスの供給と安全性を確保するための法律です。ガス設備に関する規定が含まれています。例えば、ガスコンロの設置基準やガスメーターの安全性に関する規定があります。

まとめ

建築基準法 第二条 1項三号で定義される建築設備は、建物の安全性、快適性、機能性を支える重要な要素です。これらの設備は、関連する法律や条例に基づき適切に設置・管理されることで、建物利用者の生活を支えています。建築設備の理解と適切な運用は、建築物の品質を高めるために欠かせない要素となります。

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